デジタルクーポンとは、スマートフォンやタブレット端末で利用できる電子クーポンのことです。近年、キャンペーン等で広く活用されるようになり、手軽に利用できることから消費者の間でも人気が高まっています。
しかし、デジタルクーポンには不正利用のリスクが伴います。例えば、クーポンを複製して複数回利用したり、消込情報を改ざんするなどの手口が横行しています。
中小企業にとって、せっかくのキャンペーン施策が不正利用によって台無しになってしまうのは大きな痛手です。そこで今回は、デジタルクーポンの不正利用を防ぐための簡単で効果的な方法をご紹介します。
目次
- デジタルクーポンの不正利用とは?
- 不正利用によるリスク
- よくある不正利用の手口
- 不正利用を防ぐための対策
- システムによる対策
- 運用による対策
- セキュリティと顧客満足度の両立
- まとめ
デジタルクーポンの不正利用とは?
不正利用によるリスク
デジタルクーポンの不正利用は、企業にとって深刻なリスクをもたらします。具体的には、以下のような点が挙げられます。
売上減少
本来得られるはずの売上が、不正利用によって減少します。特に、高額なクーポンや人気商品のクーポンが不正利用された場合、その影響は大きくなります。
利益率の低下
不正利用によって割引額が増加し、利益率が低下します。特に、薄利多売の商品やサービスの場合、わずかな割引でも利益が大きく変動する可能性があります。
ブランドイメージの低下
不正利用が横行することで、企業の信頼性が低下し、ブランドイメージが損なわれます。特に、SNSなどで不正利用が拡散された場合、その影響は広範囲に及ぶ可能性があります。
顧客からの信頼喪失
不正利用によって公平性が損なわれ、顧客からの信頼を失う可能性があります。特に、優良顧客が不正利用を目の当たりにした場合、企業の対応によっては顧客離れにつながる可能性があります。
システム負荷の増大
大量の不正アクセスによって、サーバーに負荷がかかり、システムの安定性が損なわれる可能性があります。特に、短期間に集中して不正利用が発生した場合、システムダウンにつながる可能性があります。
法的リスク
不正利用の手口によっては、法的責任を問われる可能性があります。特に、個人情報流出や不正アクセスなど、犯罪行為に該当する場合には注意が必要です。
これらのリスクは、企業の規模や業種に関わらず、等しく発生する可能性があります。デジタルクーポンを導入する際には、これらのリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
よくある不正利用の手口
デジタルクーポンの不正利用の手口は、日々巧妙化しています。代表的な手口としては、以下のようなものが挙げられます。
同一人物による複数回利用
通常、クーポンは一人一回限りの利用が前提ですが、ブラウザのcookieという設定をリセットすることで不正に複数回利用されてしまう場合が多く見受けられます。さらに、複数のアカウントを作成したり、家族や友人のアカウントを借りたりして、同一人物が複数回利用するケースがあります。
不正なプログラムによるクーポンコードの生成
専門的な知識を持つ者が、不正なプログラムを使って有効なクーポンコードを生成するケースがあります。この手口は、発見が難しく、対策が遅れると大量の不正利用につながる可能性があります。
これらの手口は、単独で使われることもあれば、組み合わせて使われることもあります。企業は、これらの手口を常に把握し、最新のセキュリティ対策を講じる必要があります。
Cookieとは?
ウェブサイトを訪問した際に、あなたのブラウザに情報が保存される仕組みです。その情報を使って、消込情報を次回まで維持したり、次回の訪問時にログイン状態を維持したりすることができます。
不正利用を防ぐための対策

システムによる対策
ログイン認証の導入
ログイン認証を導入することで、ユーザーを識別し、同一人物による複数回利用を防止できます。メールアドレスや電話番号を使ってユーザー登録を促し、ログイン時に認証を行う仕組みを構築します。これにより、ユーザーは自分のアカウントでしかクーポンを利用できなくなり、不正利用を抑制できます。
さらに、二段階認証や多要素認証を導入することで、セキュリティをより強化できます。二段階認証では、ログイン時にパスワードに加えて、スマートフォンに送信された認証コードを入力する必要があります。多要素認証では、指紋認証や顔認証など、複数の認証方法を組み合わせることで、より強固なセキュリティを実現します。
ワンタイムURLの発行
ワンタイムURLとは、一度しか利用できないURLのことです。DMハガキなどを使い、ユーザーごとに固有のワンタイムURLをQRコード変換し印刷することで、URLの使い回しを防ぎ、不正利用を抑制できます。ワンタイムURLは、通常、一定時間経過後や利用後に無効化されます。
ワンタイムURLは、メールやSMSでユーザーに送信したり、アプリ内で表示したりする方法で提供できます。
不正検知システムの導入
不正検知システムを導入することで、不審な利用を早期に発見し、対策を講じることができます。不正検知システムは、ユーザーの行動履歴や利用パターンを分析し、通常とは異なる不審な動きを検知します。例えば、短時間に大量のクーポンを利用したり、通常とは異なる場所からアクセスしたりする場合に、不正利用の可能性が高いと判断します。
不正検知システムは、リアルタイムで不正利用を検知し、アラートを出すことができます。これにより、企業は迅速に対応し、被害を最小限に抑えることができます。
運用による対策
利用規約の明確化
利用規約を明確化し、不正利用に対する罰則を明記することで、利用者の意識を高めます。利用規約には、クーポンの利用条件、利用回数制限、禁止事項、違反した場合の措置などを具体的に記載します。また、利用規約は、ユーザーが容易に確認できるように、Webサイトやアプリの分かりやすい場所に掲載しましょう。
利用規約を明確化するだけでなく、ユーザーに理解してもらうことも重要です。利用規約の内容を分かりやすく説明したり、FAQを充実させたりすることで、ユーザーの疑問や不安を解消しましょう
従業員教育の徹底
従業員に対して不正利用の手口や対策方法を教育することで、組織全体のセキュリティ意識を高めます。従業員教育では、不正利用の種類、手口、リスク、対策方法、発見時の対応などを具体的に説明します。また、定期的に研修を実施したり、事例集を作成したりすることで、従業員の知識と意識を維持・向上させましょう。
従業員教育は、全従業員を対象に行うことが望ましいですが、特にクーポン発行や利用に関わる部署の従業員には重点的に教育を行いましょう。
不正利用の監視体制
不正利用の監視体制を構築し、定期的に利用状況をチェックすることで、不正利用の早期発見に繋げます。監視体制を構築する際には、監視対象、監視方法、担当者、対応フローなどを明確に定めます。また、監視ツールを導入したり、専門チームを設置したりすることで、効率的かつ効果的な監視体制を構築しましょう。
不正利用の監視は、定期的に行うだけでなく、キャンペーン期間中やクーポン発行後など、必要に応じて強化することが重要です。
セキュリティと顧客満足度の両立
過度な制限による顧客体験の低下
複雑な認証プロセス
ログイン認証や二段階認証が複雑すぎると、顧客はストレスを感じ、利用を諦めてしまう可能性があります。
不正検知システムの誤検知
不正検知システムが誤検知を多発すると、顧客は不当に利用を制限され、不信感を抱く可能性があります。
これらのケースでは、セキュリティ対策が顧客の利便性を損ない、顧客満足度を低下させる可能性があります。セキュリティ対策と顧客満足度のバランスを考慮し、適切な対策を講じることが重要です。
顧客に安心感を与える情報開示
セキュリティ対策の内容を顧客に開示することで、安心感を与えることができます。具体的には、以下のような情報を提供します。
セキュリティ対策の内容
どのようなセキュリティ対策を講じているかを具体的に説明します。例えば、ログイン認証、ワンタイムURLの発行、不正検知システムの導入など、具体的な対策内容を記載します。
個人情報の取り扱い
個人情報の取り扱いについて、プライバシーポリシーなどで明確に説明します。どのような情報を収集し、どのように利用・管理するかを分かりやすく記載します。
不正利用への対応
不正利用が発生した場合の対応について説明します。例えば、不正利用の検知方法、利用制限、アカウント停止、法的措置など、具体的な対応を記載します。
これらの情報を提供することで、顧客は安心してクーポンを利用できるようになります。また、企業に対する信頼感も高まります。
不正利用発生時の対応
不正利用が発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。具体的には、以下のような対応を行います。
不正利用の検知
不正検知システムや監視体制によって、不正利用を早期に検知します。
利用制限
不正利用されたアカウントやクーポンを一時的に利用制限します。
顧客への連絡
不正利用された顧客に連絡し、状況を説明します。必要に応じて、パスワードの変更やアカウントの再設定を促します。
原因の調査
不正利用の原因を調査し、再発防止策を検討します。
これらの対応を迅速かつ適切に行うことで、被害を最小限に抑え、顧客からの信頼回復に繋げることができます。
まとめ
一般的なcookieによる消込は不正が可能
一般的なcookieによる消込は、ユーザーのブラウザにcookie情報を保存し、クーポンの利用状況を管理する方法です。しかし、cookieはユーザー側で削除や編集が可能なため、不正利用のリスクがあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- cookieの削除:ユーザーがブラウザのcookieを削除すると、クーポンの利用履歴が消えてしまい、再びクーポンを利用できる可能性があります。
- cookieの編集:専門的な知識を持つユーザーは、cookie情報を編集して、クーポンの利用回数を偽装する可能性があります。
これらのケースでは、一般的なcookieによる消込では、不正利用を完全に防ぐことはできません。
ログインやワンタイムURLといった不正防止策がおすすめ
より高度なセキュリティ対策として、ログイン認証やワンタイムURLの発行がおすすめです。これらの対策は、ユーザーの識別や利用制限を強化し、不正利用を効果的に防止できます。
- ログイン認証:ログイン認証を導入することで、ユーザーを識別し、同一人物による複数回利用を防止できます。また、二段階認証や多要素認証を導入することで、セキュリティをより強化できます。
- ワンタイムURL: ワンタイムURLを発行することで、URLの使い回しを防ぎ、不正利用を抑制できます。ワンタイムURLは1回利用されると無効化されます。
デジタルクーポンの不正利用は、企業にとって深刻なリスクをもたらします。不正利用を防ぐためには、システムと運用の両面から対策を講じることが重要です。システム面では、ログイン認証やワンタイムURLの発行などが有効です。運用面では、利用規約の明確化、従業員教育の徹底、不正利用の監視体制などが重要です。また、セキュリティ対策と顧客満足度のバランスを考慮し、適切な対策を講じることが重要です。これらの対策を組み合わせることで、不正利用を効果的に防止し、安全かつ効果的なクーポン運用を実現できます。
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