「景品表示法」とは、企業が商品券や金券、クーポン、ノベルティなどを販促に使う際、その配付方法や金額がどのように規制されるかを定めた法律です。
近年は、来店促進や会員獲得のために商品券やデジタルクーポンを配付する企業が増え、景品表示法への関心も急上昇しています。
しかし、誤った理解のままキャンペーンを行うと、“景品類の上限超過”などで行政処分の対象となる可能性もあり、多くの販促担当者が不安を抱えています。
この記事では、商品券や金券を安全に活用するための景品表示法の基本、判断基準、実務上の注意点をわかりやすくご紹介していきます。
目次
- 商品券・金券と景品表示法の基本を理解する
1-1. 景品表示法とは何を制限する法律か
1-2. 商品券・金券は「景品類」に該当するのか
1-3. 割引券・クーポンとの違い - 商品券をキャンペーンに使う際の規制区分(一般・懸賞など)
2-1. 一般懸賞の上限(取引価額による景品額のルール)
2-2. 共同懸賞・総付景品の上限
2-3. 商品券・金券はどの区分で判断すべきか - 商品券・金券を使う際の実務的なチェックポイント
3-1. 金額設定と上限確認の方法
3-2. 対象者(既存客・新規客)による規制の違い
3-3. クーポン・キャッシュバックを利用する場合の注意点 - ありがちなNG事例と回避方法
4-1. 景品額が上限を超えてしまうケース
4-2. 「割引券だから規制対象外」と誤解されやすい事例
4-3. オンライン抽選・SNSキャンペーンで発生しやすい違反例 - 景品表示法を押さえて効果的な販促を行うために
5-1. まず押さえるべき3つの判断基準
5-2. 社内で法令チェックを行う仕組みづくり
5-3. 商品券活用を成功させるためのポイントまとめ - まとめ
1. 商品券・金券と景品表示法の基本を理解する

1-1. 景品表示法とは何を制限する法律か
景品表示法とは、消費者が商品やサービスを選ぶ際に誤解や過大な期待をしないように、企業の広告・販売促進活動に一定のルールを設けた法律です。具体的には、実際の商品・サービスの価値以上に高く見せかける表示や、景品類の過大な提供を規制します。
例えば、店舗で「来店者全員に1万円の商品券プレゼント」と宣伝した場合、その商品券の価値が法律で定める上限を超えていると違反となる可能性があります。消費者にとって公正な取引環境を守るための法律であり、特にキャンペーンや販促活動を行う企業担当者は注意が必要です。
景品表示法は、難しく感じるかもしれませんが、基本の考え方は
- 景品額の上限を守ること
- 表示内容を正確にすること
この2点を押さえれば、実務での判断はそれほど複雑ではありません。
1-2. 商品券・金券は「景品類」に該当するのか
商品券や金券は、消費者に金銭的な価値を直接提供する手段であるため、景品表示法上「景品類」に該当する場合があります。キャンペーンの目的や提供方法によって、景品類として扱われるかどうかが判断されます。
景品類に該当するケース
- 商品購入者に対して提供されるプレゼントとしての商品券
- 抽選で当選者に贈る金券
- 来店や会員登録の特典として配布される金銭的価値のあるクーポン
景品類に該当しない可能性があるケース
- 自社商品と同等価値の引換券や、特定サービスでのみ使えるクーポン
- 社内向けや社員福利厚生の範囲内で配布される金券
つまり、商品券や金券をキャンペーンに使う際には、「誰に」「どのように」配布するのかを明確にすることで、景品表示法上の扱いを判断できます。
1-3. 割引券・クーポンとの違い
商品券や金券と似た施策として、割引券やクーポンがあります。これらも景品として扱われる場合がありますが、以下の点で違いがあります。
- 割引券・クーポンは直接金銭を渡すわけではない
- 割引券は購入時の代金から一定額を差し引く仕組みです。金銭の受け渡しがないため、景品類としての上限規制は商品券ほど厳しくありません。
- 提供方法で規制が変わる
- 新規顧客限定、購入金額に応じたキャッシュバックなど、条件付きで提供する場合は規制の対象となる場合があります。
- 利用範囲が限定されている
- クーポンは使用可能な商品・サービスが限定されるため、価値が変動し、景品類としての扱いも限定的です。
このように、商品券・金券は現金に近い価値を持つため規制が厳しく、割引券やクーポンは条件や利用範囲によって柔軟に設計できる点が違いです。企画段階でどの手段を使うか、目的や対象者を踏まえて判断することが重要です。
商品券の作成方法について詳しくは商品券の作成方法を徹底解説!デザインテンプレートもご紹介をご覧ください。
2. 商品券をキャンペーンに使う際の規制区分(一般・懸賞など)
2-1. 一般懸賞の上限(取引価額による景品額のルール)
一般懸賞とは、商品やサービスの購入者を対象に、抽選や応募によって景品を提供するキャンペーンのことを指します。ここで配布する商品券や金券には、法律で定められた上限があります。具体的には、景品の価額は「取引金額の20倍以内かつ1万円以内」というルールが基本です(上限額は景品の種類や取引条件により変動する場合があります)。
例えば、1,000円の商品を販売する場合、20倍の2万円を超えない範囲で商品券を景品として提供することが可能です。しかし、特定の高額商品やサービスでキャンペーンを行う場合は、上限額が変わることがあるため注意が必要です。また、取引額に応じて景品を段階的に変える場合も、上限を超えない設計が求められます。
このルールを守ることで、消費者に過大な期待を与えず、違反のリスクを回避しながら効果的な販促を行うことができます。
2-2. 共同懸賞・総付景品の上限
共同懸賞とは、複数の企業が共同で実施する懸賞キャンペーンを指します。この場合、景品の価額は「取引価額の10倍以内かつ5,000円以内」という制限があります。つまり、個別企業で実施する場合よりも上限が低く設定されているため、注意が必要です。
総付景品とは、商品購入者全員に同一の景品を提供するタイプのキャンペーンです。こちらも上限が定められており、一般懸賞より低めに設定されています。総付景品では、景品の価額が高すぎると法律違反となる可能性があるため、キャンペーン設計時に慎重な計算が求められます。
これらの規制は、消費者に公平で適正な取引環境を提供するために設けられており、違反すると行政指導や改善命令、最悪の場合は課徴金の対象となることもあります。
2-3. 商品券・金券はどの区分で判断すべきか
商品券や金券をキャンペーンで利用する場合、まず「どの区分に属するか」を判断することが重要です。一般的な考え方は次の通りです。
購入者抽選型の場合
- 一般懸賞として扱い、取引価額の20倍以内かつ1万円以内を目安に設定します。
購入者全員への配布型の場合
- 総付景品として扱い、価額の上限に注意して設計します。
複数企業で共同実施する場合
- 共同懸賞として、取引価額の10倍以内かつ5,000円以内を目安に設計します。
また、景品表示法では「誰に提供するか」「何を提供するか」「条件は何か」という三点が判断基準になります。商品券・金券は現金に近い価値を持つため、上限額や対象者を誤ると違反リスクが高まります。キャンペーン設計の段階で、これらの区分に照らして慎重に判断することが安全運用のポイントです。
参考: 景品表示法関係ガイドライン | 消費者庁
3. 商品券・金券を使う際の実務的なチェックポイント
3-1. 金額設定と上限確認の方法
商品券や金券をキャンペーン景品として利用する際、まず最も重要なのは金額設定です。景品表示法では、一般懸賞、共同懸賞、総付景品など、キャンペーンの区分ごとに景品の上限額が決まっています。
実務上は次の手順で確認するのが安全です。
- キャンペーン区分を確認する
- 購入者抽選型は一般懸賞
- 購入者全員配布型は総付景品
- 複数企業で共同実施する場合は共同懸賞
- 上限額の計算
- 取引価額に応じて上限が変わるため、商品単価やサービス価格に基づいて計算します。
- 商品券や金券は現金同等の価値を持つため、上限を超えない金額設定が不可欠です。
- 余裕を持った設定
- 上限ギリギリの金額では、計算ミスや条件変更時に違反になる可能性があるため、上限の7〜8割程度に設定することが安全です。
これにより、景品の金額が法律に抵触するリスクを大幅に下げることができます。
3-2. 対象者(既存客・新規客)による規制の違い
景品表示法では、景品を提供する対象者によって適用される規制が異なります。
- 既存客向けキャンペーン
- 既に商品やサービスを利用した顧客に対する景品提供は、上限が緩和されるケースがあります。
- ただし、過大な景品を提供すると誤認誘導とみなされる可能性があるため注意が必要です。
- 新規客向けキャンペーン
- 新規顧客獲得を目的とした場合、上限は一般懸賞のルール通り厳格に守る必要があります。
- 過大な商品券や金券を提供すると行政指導や改善命令の対象になるリスクがあります。
このように、対象者によって景品の価額や提供条件を調整することが重要です。社内でキャンペーン設計時に、既存客・新規客を区分して計画書に明記しておくと安心です。
3-3. クーポン・キャッシュバックを利用する場合の注意点
商品券や金券だけでなく、割引クーポンやキャッシュバックを景品として提供する場合も、景品表示法の規制を意識する必要があります。
- 割引クーポン
- 提供条件や利用制限を明確に表示することが重要です。
- 「期間限定」「特定商品限定」など条件が曖昧だと、過大表示とみなされる可能性があります。
- キャッシュバック
- 現金や金券同様に扱われるため、上限金額を超えない設計が必要です。
- 手続きが複雑で、受け取り条件が不明瞭だと消費者トラブルの原因になります。
実務では、クーポンやキャッシュバックを提供する際に、条件や金額を文書化して社内で承認を取ることが、違反リスクを回避するポイントです。
4. ありがちなNG事例と回避方法
4-1. 景品額が上限を超えてしまうケース
商品券や金券を販促キャンペーンで提供する際、最も多い違反パターンが景品額の上限超過です。
これにより、行政指導や罰則のリスクを回避しつつ、安心して販促施策を実施できます。
4-2. 「割引券だから規制対象外」と誤解されやすい事例
割引クーポンやキャッシュバックは、現金同等の価値を持つ場合があります。そのため、「割引だから景品表示法の規制対象外」と誤解しやすいのが注意点です。
この注意を守ることで、割引系キャンペーンでも安心して運用できます。
4-3. オンライン抽選・SNSキャンペーンで発生しやすい違反例
最近では、SNS投稿やオンライン応募によるキャンペーンが増えています。これに伴い、次のような違反リスクが顕著です。
オンライン施策は手軽で効果が高い反面、景品額管理が甘いと違反につながりやすいため、細かい確認が重要です。
参考: 景品表示法関連情報ページ | 公正取引委員会
5. 景品表示法を押さえて効果的な販促を行うために
5-1. まず押さえるべき3つの判断基準
商品券や金券を使った販促を安全に実施するためには、景品表示法に基づく基本的な3つの判断基準を理解することが重要です。
- 景品類に該当するかどうか
- 商品券や金券は、原則として景品類に含まれます。ただし、購入金額に応じて提供する総付景品や、販売促進の一環として無償配布する場合など、条件によって取り扱いが変わります。まず自社の施策が景品類に該当するかを確認しましょう。
- 上限金額の確認
- 景品の価値には上限があり、既存顧客向け・新規顧客向け、抽選型・総付型によって上限が異なります。上限を超えてしまうと違反となるため、必ず取引価格や対象者区分ごとに計算して設定することが必要です。
- 表示の適正性
- 割引券やキャッシュバックを提供する場合、条件や利用方法を正確に表示する必要があります。誤解を招く表示や「誰でも使える」と誤認される表現は行政指導の対象となるため、文言や条件の明示を徹底します。
5-2. 社内で法令チェックを行う仕組みづくり
景品表示法の遵守を徹底するためには、社内でチェック体制を整えることが欠かせません。
- チェックフローの例
- キャンペーン企画段階で、対象者や景品の種類、金額を確認
- 法務担当または販促責任者による承認
- 表示文言や条件の最終確認
- 実施後、必要に応じて記録として保存
- ポイント
- 社内マニュアルを作成して、誰でも基準を確認できるようにする
- 過去のキャンペーンでの上限計算や表示方法を事例として蓄積する
- 特にオンラインやSNSでの応募では、応募者数や景品総額をリアルタイムで確認できる仕組みを整える
このように事前・事後のチェックを体系化することで、担当者ごとの判断差をなくし、安全に販促活動を運用できます。
5-3. 商品券活用を成功させるためのポイントまとめ
商品券や金券を活用した販促を効果的かつ安全に行うには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 上限金額を守る
- 既存顧客・新規顧客の区分や取引価格に応じた上限を必ず確認する。
- 条件と表示を明確にする
- 割引やキャッシュバックの条件、応募方法を消費者に正しく伝える。
- 社内で承認・記録する
- 法令チェックのフローを整備し、誰でも確認できる仕組みを作る。
- オンライン施策も慎重に管理する
- SNSキャンペーンや抽選施策では、応募数や景品総額を事前に把握し、超過リスクを回避する。
これらを徹底すれば、景品表示法の基本を押さえたうえで、安全かつ効果的な商品券・金券キャンペーンを実施できます。
参考: 景品表示法公式解説ページ | 消費者庁
まとめ
商品券や金券を用いた販促施策では、景品類の該当性、上限金額、表示内容の適正性を押さえることが最も重要です。社内で法令チェックの仕組みを整え、条件や応募方法を明確に表示することで、違反リスクを回避できます。また、オンラインやSNSでのキャンペーンも総額や応募数を管理することで安全に運用可能です。これらの基本を理解すれば、景品表示法を守りつつ効果的なマーケティングが実現できます。
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